最近TEASTAMENTの初期5作品(スタジオ・アルバム)が紙ジャケ(というか、簡易ジャケ)でBOX再発されたので、購入。いや実はTESTAMENTの初期5枚でCD持ってるのって、多分「PRACTICE WHAT YOU PREACH」だけなんですよ(アナログは1stと2ndも持ってる)。しかも個人的には、当時EXODUSとOVERKILLにそれ程興味が無かった為(どちらもVoが生理的にダメだった)、当時の西海岸スラッシュでOKだったのは、やはりTESTAMENTだったんですよね…。
なので、某ウェブショップで1978円だったのもあり、即ポチリ! で、久々に全5作聴いてみました。多分ほとんどのアルバムが発売当時以来聴いていないので(その後の新作は聴いてますよ!)、まさに「四半世紀ぶりの初期TESTAMENT」(笑)です。
じゃ、いってみましょうか!
・THE LEGACY(1987)
バンド名がLEGACYからTESTAMENTになって、MEGAFORCEからリリースされた1stアルバム。この時点で既にVoはチャック・ビリーだったので、そういう意味ではゼトロがEXODUS行ってくれて良かったのかも。しかし、このアルバムだけ音量レヴェルがムチャクチャ低い! 確か「LEGACY EDITION」とかでリマスタリングされてるはずなんだけど、今回の5CDセットは初期のマスタリングのままを使ってるんだろうな〜(ご存知の通り、80年代とかのCD黎明期の作品は、今のCDに比べて軒並み音量レヴェルが低い)。当時リアルタイムで聴いてない(発売当初ではなく、初めて聴いたのは多分「PRACTICE WAHT YOU PREACH」アルバム以降…理由は次の「NEW ORDER」の項で)のもあるので、イマイチ印象が薄いアルバムではあるんだけど、今聴くと凄いオーソドックス(勿論、イイ意味で)に感じます。
・THE NEW ORDER(1988)
ATLANTICからメジャー・デビューした2ndアルバム。正直な話、1stの時点では個人的にはまだ"スラッシュというジャンル"にある意味抵抗感があったのだけど、何故かこの頃になると興味が出始め("怖いもの見たさ"的な部分も含め)、初めてリアルタイムで買った(但し、アナログで…)TESTAMENTの作品。しかし当時は「"Into The Pit"は良いけど、全体にはイマイチだなぁ…」と思ってしまった自分が…故にこの時点でも1st「THE LEGACY」はまだゲットするに至らない訳です。今振り返ってみると、そんな当時ですら気に入っていた"Into The Pit"も含め、云わば「スラッシュの様式美」的要素がふんだんに散りばめられ、ある意味「先鋭的」でもあり(Gのアレックス・スコルニックに因る所が多かったのでしょうね…核戦争後の世界を描いたというコンセプトも、些かプログレ・メタル的)、当時の「ベイエリア・スラッシュの教科書」的な作品でしょうね…今更ながら「また聴きたい!」と思いました。
・PRACTICE WHAT YOU PREACH(1989)
多分一般的に「TESTAMENTで一番有名で、一番売れたアルバム」であろう本作…タイトル・トラック"Practice What You Preach"がヒットしたのもありますが、アレックスの才能と音楽的貢献度も更にアップし、チャックの「メタル・ヴォーカリストとしての表現力」(「スラッシュ・ヴォーカリスト」ではなく)も上がって、それがこのアルバムで開花した、という感じでしょうか? ビルボードにチャート・インした作品でもあります。89年といえばMETALLICAが前年秋に「...And Justice For All」を発表し、"One"のPVで大きな話題をさらっていた直後の時期でもあります。全くの推測ですが、彼らは3rd「MASTER OF PUPPETS」(86年)でゴールド・ディスクを獲得し、新作も好調なMETALLICAに、どこか羨ましさがあったんじゃないか?と…それが、"Blessed In Contempt"や"The Ballad"みたいな曲を中心として、本作全体に影響していたような気がします。
・SOULS OF BLACK(1990)
前作の成功(METALLICAには遠く及ばないものの…)を経て、制作された4thアルバム。相変わらずアレックスのGプレイの切れ味は素晴らしいが、正直曲が地味な気がします。個人的な話ですが、当時「必修」だったドイツ語の1単位を落として、大学を留年しまして…1単位だけだったので、90年はほぼバイト三昧でそれなりにお金もあったので、この作品が出た頃は、ほぼ毎日御茶ノ水の某店にCD買いに行っていたのですが、そんな状況の中で前作の評価が高かったバンドの新作を買わなかったのは、多分試聴とか店内演奏で聴いてか、当時の友人:S君に借りて、「あれっ…?」って感じたからだと思うんですよね(記憶が定かでない)…今聴いても、その印象はあまり変わらず、「新たな発見」とかも特に無いですね。
・THE RITUAL(1992)
それまでの「1年に1枚」ペースから、更に1年を空けて制作された5th。いやー、正直厳しい(M-8"Agony"以降は結構イイですけど…)。90年代のアメリカといえば、まさにグランジ全盛期…内容がダークかつダルで、良いのはやはりアレックスのGプレイのみ。当時も全くCD買う気にならなかったし。でも、本国アメリカでは「PRACTICE 〜」に続くビルボードへのチャート・イン…時代がこういうサウンドを求めていたんでしょうねぇ。当時の日本のメタル・ファンは基本グランジ・ムーヴメントを支持していなかったので、日本でのこの作品への特段の支持も無し…日米のファンに於ける「グランジ感覚」の差がはっきり表れていたような気がします。そして。ジャズに傾倒し、音楽的によりハイ・センスな事がしたかったであろうアレックスは、本作のレコーディングを最後にTESTAMENTを去る訳です。
今回聴き直してみて、2nd「THE NEW ORDER」の個人的評価はグッと上がりましたが、それ以外は正直あまり変わりません…でも、昔の作品を聴くのは楽しいですね。新譜を追いかけるので結構アップアップですが、たまには色々なバンドの旧譜も時間を作って聴き直したいものです。